桑田真澄!おめでとう!
日本球界の宝!桑田真澄。
「まさか自分がここに立てると思っていなかったから、こういうチャンスを
与えてくえたパイレーツに感謝しています。自分自身にも、頑張ってきて
よかったなと思います」。
桑田真澄が夢を叶えた。パイレーツとのマイナー契約、そして左足首のねんざ
という壁を乗り越えて、野球の聖地と言われるヤンキー・スタジアムのマウンドに立った。
午前10時過ぎ。パイレーツの選手バスから、桑田が先頭で降りてきた。
「一番後ろに乗っていたが、みんなが『先に行け』と言ってくれて、みなさんの
はからいには感謝しています」。ライトグレーのスーツを着た桑田がヤンキー・スタジアム
に初めて歩を進めた。
前日の深夜にメジャー昇格の知らせを聞いた桑田は、「寝不足もあってか、
すごく爆睡しました。昨日は午後11時ぐらいに寝て、今朝午前5時30分に目が覚めて、
6時までベッドの上でボーッとしていて、その後ルームサービスで朝ごはんを食べました」
と、慌しかった2日間を振り返った。
5回、夢の扉が開いた。PAアナウンサーのボブ・シェパードが「マスミ・クワタ」
をコールした。39歳70日でデビューした桑田は、1960年9月5日に、41歳227日
でデビューしたパイレーツのディオメデス・オリボ以来の最年長ルーキーとなった。
「これがテレビでずっと見ていた球場だと思って、芝生を一歩一歩かみ締めた」。
メジャー第1球は86マイル(約138キロ)のファストボールだった。
「22年やっていても、初めて投げるときはちょっと緊張もします。
3人でパッと0点で抑えられたのですごくうれしかった」。
この回は打者3人を11球で仕留めた桑田だが、続く6回にメジャーの洗礼を浴びた。
簡単に2アウトを取った後、「投げた瞬間、ボールだったから、もっとストライクゾーンで
勝負すべきだった。しっかりとしたストライクゾーンをもっていて、すごく嫌だった。
あの1球は悔いが残る」とボビー・アブレイユを歩かせた。リーグ本塁打王を独走する
アレックス・ロドリゲスには、「初球はボールから入るつもりだったが、
ど真ん中に吸い込まれた」と振り返る、メジャー初の被安打となる2ランを浴びた。
そして、打席に松井秀喜を迎えた。「リズムが合わなくて投げにくかった。
でもホームランだけは打ってくれるな」と、桑田は思っていた。
この対決には、ケーブルテレビ局のYESも注目し、画面を2分割に分けて
2人の表情を伝えた。桑田は松井に四球を与え、マウンドで苦笑いを浮かべた。
「いつも通りの準備をしていたが、実際打席に立つと、ちょっと違った感じはありました。
結果は四球でしたが、ヤンキー・スタジアムで桑田さんと対決できたのは、
非常に大きな思い出になる」。そう話す松井は、初回1死一、三塁のチャンスに、
元同僚のショーン・チャコンから左中間を破るタイムリーツーベースを放ち、
6試合連続打点をマーク。「1、2打席目も甘いボールだったけど、
非常にいい打席だった。打線がつながったし、いろんな意味で歯車がよくなってきた」
と、6連勝に表情も明るかった。
「本当にもう涙がでるぐらいうれしい。約20年経って夢が実現できて、
そういうチャンスを頂けたのがうれしい」。桑田は会見で感謝という言葉を
何度も繰り返した。メジャー挑戦への道のりが順風満帆でなかっただけに、
胸に迫る思いがあったのだろう。
桑田らしいパフォーマンスはなかった。その代わり、
「心の中で野球の神様にありがとう」と言った。
慣れ親しんだ18番を背負った桑田の本当の戦いが、いよいよ始まった。
MAJOR.JPより
頑張れ!桑田真澄!これからも、MLBから目が離せない!!