ベッカム 米ロサンゼルス移籍決定
去就が注目されていたレアル・マドリードの元イングランド代表MFデビッド・ベッカム(31)が11日、米国メジャーリーグサッカー(MLS)のロサンゼルス移籍を決断した。声明を発表し、来季から5年総額300億円の大型契約を結ぶ。根強い人気を誇るスーパースターが、新天地でサッカー人気を切り開く新たな挑戦に踏み出した。
 ついにベッカムが決断を下した。「今週レアルから2年契約の延長に関して結論を出すよう求められた。家族や代理人と話し合ってマドリード残留か、英国や欧州のクラブへ移籍するか考えたが、LAギャラクシー入団を決めた。今年8月からプレーする」。世界が注目していた移籍騒動に終止符が打たれた。
 悩み抜いた末の決断だった。常々「サッカーよりも家族が大切。家族はマドリードを気に入っている」と話し、ピッチへのこだわりは後回しにしてきたが、最後は選手としての思いが勝った。今季はカペッロ監督の下で出場機会が激減。リーグ戦の先発は5試合にとどまり、11日のスペイン国王杯ベティス戦は遠征メンバーも外された。「新たな挑戦を楽しみにしている」とベッカム。もう一度サッカーを楽しむための決断が必要だった。
 新天地となる米国はサッカー人気が高いとは言えないが、ロサンゼルスには自らサッカーアカデミーを所有。ベッカムは以前から底辺拡大に意欲を示しており、関係者も「米国での挑戦は子供たちにサッカーを好きになってもらうこと。彼はスポーツ大使としての役割を果たすことになる」と説明した。またMLS側も4月開始の新シーズンから年俸総額に上限を設けたサラリーキャップの枠外で選手獲得が可能にできるようルールを改正し、リーグ運営の起爆剤となる大物招へいの土壌をつくっていた。
 英メディアは移籍に伴う総収入を5年総額で2億5000万ドル(約300億円)と報じ、スポーツ史上最高級の高額所得選手となるが、責任と期待も大きい。“王様”と呼ばれ、旧北米リーグのニューヨーク・コスモスでプレーしたペレでさえ成し遂げられなかったサッカーによる“米スポーツ界制圧”。ベッカム旋風が世界最大のプロスポーツ大国で吹き荒れる。
ロサンゼルス・ギャラクシー 
95年に設立され、MLSの西地区に所属。ホームは2万7000人収容のサッカー専用スタジアム、ホーム・デポセンター。リーグ優勝は02、05年の2回。米国代表MFドノバン、FWコビ・ジョーンズらを擁した昨季は西地区5位でプレーオフ進出を逃した。